自転車レースに詳しくない方でも、飯田ステージを走る選手たちの顔を見れば、このコースがいかに普通じゃないかが伝わるはずです。
ゴール直前、選手たちの顔は苦痛に歪み、体中の血管が浮き出ています。なぜなら、飯田のコースは国内のロードレースの中でもトップクラスに過酷な登りの連続だからです。
今回は、2026年5月28日に選手たちが立ち向かう、コースのスペックを数字で紐解きます。
1. 富士山の頂上が見えてくる?「獲得標高2,981m」
「獲得標高」とは、レース中に登った高さの合計のことです。飯田ステージの数字は、なんと2,981mに達します。
日本の象徴である富士山の標高が3,776mですから、選手たちは自転車に乗って、わずか4時間足らずの間に富士山の8合目付近まで一気に登る計算になります。
しかも、一度に登るわけではありません。1周12.2kmのアップダウンがあるコースを「10周」繰り返します。一度登りきって、心臓がバクバクの状態のまま猛スピードで下り、またすぐに次の登りが始まる……。
この「休めない」連続攻撃が、選手たちの脚をじわじわと削っていくのです。
2. 最大の難所「柿野沢」の激坂
コースの中で最も過酷なのが、下久堅地区にある「柿野沢」の登り坂です。
ここには勾配が10%を超える区間が長く続きます。 「10%」と聞くと大したことがないように感じるかもしれませんが、一般的な道路の坂道としてはかなりの急勾配。これを10回も登るとなると、話は別です。
プロ選手ですら、この坂では時速15km〜20km程度までスピードが落ちることがあります。重力に逆らい、一踏み一踏みを魂で漕ぎ進める選手たちの息遣いが、沿道の我々の耳に直接届くほどの距離感で戦いが繰り広げられます。
3. 下りで休める?実は「下り」も戦場
登りがきついなら、下りは楽かと思いきや、実はそうではありません。
飯田ステージの下り区間は非常にテクニカルで、最高時速は80km〜90kmに達することもあります。登りで限界まで追い込んだ直後に、このスピードで急カーブを曲がるには、極限の集中力が必要です。
「登りで耐え、下りで集中する」 これを3時間以上も繰り返すのですから、ゴールした瞬間に選手たちが地面に倒れ込むのも無理はありません。
2,981mのドラマを見届けよう
TOJで選手たちが挑むのは、ライバルだけではありません。飯田の厳しい「地形」そのものが大きな壁として立ちはだかります。
次に選手たちが通り過ぎる時、彼らがすでにどれほどの高さを登ってきたのか、そしてあと何回この坂を越えなければならないのかを想像してみてください。その過酷さを知ることで、彼ら一人ひとりへの応援にも、より熱が入るはずです。


